新型コロナウイルスを分析する① SARSを振り返る

SARSは2002年に中国で初症例が観測され、2003年に終息宣言が出されるまでに8000人以上が感染した。

今回は2002年に初めて症例が確認され、世界中に混乱を引き起こした感染症である、SARS(重症急性呼吸器症候群)について振り返っていこう。


SARSコロナウイルスによって引き起こされるこの感染症は、 2002年11月26日に中国南部の広東省で初めての症例が発見された。 その後香港を訪れた 広東省在住の医師がスーパースプレッダーとなり、彼の宿泊していたホテルに宿泊していた外国人が帰国し、自国にウイルスを持ち込むことになってしまった。


インド以東のアジアやカナダでの感染拡大に伴い、WHOは2003年3月12日にグローバルアラートを宣言。その後新規の感染が確認されなくなった7月5日に終息宣言が出された。それまでに8000人以上が感染し、774人が死亡した。翌年以降も感染例はあったが、パンデミックは発生しなかった。ちなみに日本での感染者数は0人であった。


WHOは海外渡航による感染リスクは低いと公式に発表したが、それでも多くの人は恐怖を感じ、同時多発テロの余波が残る観光業界は経済的な損失を被ることになった。


ところでこのSARSにおいて自分の命を犠牲にしてまで多くの人の命を救ったヒーローがいた。彼の名はカルロ・ウルバニ。国境なき医師団イタリア支部会長を務めたこともある人物で、国境なき医師団がノーベル平和賞を受賞した際、受賞式に参加した代表団のメンバーの1人でもあった。その後WHOに移った彼はハノイで寄生虫由来の感染症の研究をしていた。

そんな中彼は、中国からの帰国者を治療した医療従事者が謎の肺炎に感染していることを知った。 彼はこれを新型の感染症であると分析し、WHOへの報告を行い、病棟の隔離を行った。その結果迅速な対応ができ多くの人の命が救われたが、彼自身は SARSに感染し亡くなってしまった。

結局のところSARSは突然消えた。これは単純に幸運だったからだと言える。その後、感染症対策のガイドラインが策定されたが、いつ起きるかわからないパンデミック対策に予算を充てるのは政治的に難しかった。そのためその反省はあまり活かされることがなかったのだ。

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